日本臨床死生学会 第18回大会 スピリチュアルケアの実現に向けて -理論・実践・制度-

ごあいさつ

大会の趣旨とご参加のお誘い

 第18回日本臨床死生学会は「スピリチュアルケアの実現に向けて」としました。スピリチュアルケアへの関心は日本でもすでに10年以上になり、その方面の研究も医療者、社会福祉者、宗教者、心理学者、教育者等が活発に進めていて少しずつ成果をあげています。

 しかしながら終末期医療を見ただけでも、臨床現場ではスピリチュアルケアが患者や家族に届いていない現状があります。スピリチュアルケアを担うチャプレンが置かれている病院・施設の数はわずかしかありません。また、スピリチュアルケアとは何かを理解しているスタッフも少ない。医療・介護・教育の理念としてスピリチュアルケアを掲げている所も少ない。それがために、患者・家族・子供達が「どこでも、いつでも」スピリチュアルケアを受けられる状態になっていません。この問題を解決することが今回の学術大会の目的です。

 そこで18回大会では、「スピリチュアルケアの実現に向けて―理論、実践、制度」と題して、三つの柱を立てました。スピリチュアルケアの理論的研究、スピリチュアルケアの実践課題、スピリチュアルケアを具体化するための制度的改革を追求する大会にしたいと願っています。また東日本大震災で被災された方々、支援する方々へのスピリチュアルケアについても考えたいと思います。

 今回の大会では、できるだけ多くの方の意見と参加を募りながら、大会を作りあげたいと考えています。招待講演にカナダのウエスレアン大学のポール・ウオン博士をお迎えして講演をしていただきます。ウオン博士はヴィクトール・フランクルの研究家であり、意味のカウンセリングのセミナーなどを開催する実践家です。また世界的ギターリストの村治佳織さんをお招きしています。美しい演奏とトークをお楽しみください。

 是非多くの方の参加と発表を期待しています。

2012年5月8日
第18回日本臨床死生学会大会長 聖学院大学 窪寺俊之

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